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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第22章 悲しみの幕開け
ブルンッ!!ヒヒーン──
「うわぁ――っ!!」
「どうしたティム! 大丈夫か!?」
馬の険しいいな鳴きと同時に急にガタガタと丸太の柵を蹴る音がして、小屋の外で手を洗っていたロイドはティムの叫び声に驚いて駆け寄った。
馬小屋で、太い柵を前足で邪魔だとでもいうように蹴り続けているのはあのティールだ。
「一体、どうしたっていうんだコイツは……」
驚いて腰を抜かしたままのティムを起こしながらロイドも額にかいた冷や汗を拭う。
ロイドは興奮冷めぬティールの鼻を落ち着かせるように優しく撫でた。
鼻息がブルンとロイドの手に掛かる。撫でられることを嫌がるように…
寧ろ、邪魔だとでも言うように、ティールは鼻先でロイドの手を払い返した。
後ろ足で高く立ち上がっては柵を蹴りつけ壊そうとしている。
「なんだ…外に出たいのか?」
こんなに雄馬が暴れるには大体が繁殖期のはずだ。
だがティールに至っては今までの普通の馬の成長記録とは異なる。
柵を叩き割る様にして強い蹴りを入れるティールをロイドは見つめた。