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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第22章 悲しみの幕開け
・
目の前で何が起こっているのか分からない。だだ、聞いたことのない、アルの弱々しい声と言葉に不安が押し寄せる。
アルは小さな呼吸を繰り返していた。
もっと言葉を伝えたいのに声が出ない。
声を出すってこんなに力の要ることだったんだ…
赤ちゃんの大きな産声は元気な証拠。今更ながらその意味が始めて心から理解できた。
力のない瞳でルイスに微笑みかけると、アルは声にならないまま唇だけを動かした。
「アルっ――…」
唇の動きを見て、ルイスはアルの名を呼んだ。
“みんな、大好き…”
もっと沢山あった。
お願いしたいことも、伝えたい想いも、沢山沢山あった。
それを一言にまとめた精一杯の言葉だった。
レオの腕に抱かれた細い肩が最後に大きく呼吸すると、アルの瞳は微笑んだまま静かに閉じていた──
何処からともなく現れた
流れる星の如く人目を釘付け
そして
地上に散った──
人々の希望
そう
少女は希望そのものだった──
完
天地を捧げよ
〜 第五章へと続く 〜
目の前で何が起こっているのか分からない。だだ、聞いたことのない、アルの弱々しい声と言葉に不安が押し寄せる。
アルは小さな呼吸を繰り返していた。
もっと言葉を伝えたいのに声が出ない。
声を出すってこんなに力の要ることだったんだ…
赤ちゃんの大きな産声は元気な証拠。今更ながらその意味が始めて心から理解できた。
力のない瞳でルイスに微笑みかけると、アルは声にならないまま唇だけを動かした。
「アルっ――…」
唇の動きを見て、ルイスはアルの名を呼んだ。
“みんな、大好き…”
もっと沢山あった。
お願いしたいことも、伝えたい想いも、沢山沢山あった。
それを一言にまとめた精一杯の言葉だった。
レオの腕に抱かれた細い肩が最後に大きく呼吸すると、アルの瞳は微笑んだまま静かに閉じていた──
何処からともなく現れた
流れる星の如く人目を釘付け
そして
地上に散った──
人々の希望
そう
少女は希望そのものだった──
完
天地を捧げよ
〜 第五章へと続く 〜