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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第25章 密葬
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「アル…少し休んだら戻っておいで…待ってるから…絶対にっ…絶対、戻ってこいっ」
子供達もみんなもアルの笑顔を待ってるから――
ロイドはその時、小さく呟きながら何度もアルにそう囁き続けた。
────
真っ暗な夜が唸っていた。黒い雨雲からは雨粒が豪雨のように荒れ狂う海に降り頻る。その荒波に二隻の大きな船が激しく揺られていた。
ジャワール王国へ救援物資を届け、自国への海路を急ぐルバール国の貨物船だ。
その船の甲板の上では船員達が慌ただしく動いていた。
「だめだ波が高すぎる!」
「大丈夫だから早くその縄をこっちに寄越せ!」
空に押し上げられたかと思ったらすぐに大きな横波に薙ぎ倒され船体が傾く。
海に落とされないよう体に命綱を巻き付けての作業では、中々思うように事が運ばない。
縄で縛るのも間に合わず、ジャワールから引き揚げてきた保水用の空樽があちらこちらに転がりながら、海の中へとどんどん消えて行ってしまった。
「なんて酷い嵐だ」
全身白装束の男は船内の柱に体を固定させたまま、激しい揺れを身体に受けていた。
「アル…少し休んだら戻っておいで…待ってるから…絶対にっ…絶対、戻ってこいっ」
子供達もみんなもアルの笑顔を待ってるから――
ロイドはその時、小さく呟きながら何度もアルにそう囁き続けた。
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真っ暗な夜が唸っていた。黒い雨雲からは雨粒が豪雨のように荒れ狂う海に降り頻る。その荒波に二隻の大きな船が激しく揺られていた。
ジャワール王国へ救援物資を届け、自国への海路を急ぐルバール国の貨物船だ。
その船の甲板の上では船員達が慌ただしく動いていた。
「だめだ波が高すぎる!」
「大丈夫だから早くその縄をこっちに寄越せ!」
空に押し上げられたかと思ったらすぐに大きな横波に薙ぎ倒され船体が傾く。
海に落とされないよう体に命綱を巻き付けての作業では、中々思うように事が運ばない。
縄で縛るのも間に合わず、ジャワールから引き揚げてきた保水用の空樽があちらこちらに転がりながら、海の中へとどんどん消えて行ってしまった。
「なんて酷い嵐だ」
全身白装束の男は船内の柱に体を固定させたまま、激しい揺れを身体に受けていた。