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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第25章 密葬
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「セラス殿、大丈夫ですか!?」
確認するように離れた場所から声が掛けられた。船の外も危険だが、家具がある船室内も戦場と変わらない。
「ああ、何とか無事だよ」
セラスはそう応えながら、飛んでくる椅子やテーブルを足で蹴り返していた。
ジャワールのキエラ大王に代わってセラスはルバールの船に乗り込んだのだが、この海のとんでもない荒れように、セラスは眉根を寄せた。
ルバール国の海域に入った途端、この嵐だ。これももしや、闇の王の仕業だとしたら…
不吉な予感は普段は冷静沈着なセラスの表情に不穏の陰を落としていた。
強い雨は勢いを増し、草原に咲く草木を容赦なく叩きつける。
雨雲のせいで月の灯りも届かぬ暗い湖は、今は闇の王の出現で見張りの隊達も城へと皆退き払っていた。
発光色の草花が鈍く光を射す神の降りる泉はしんとしたまま静かにそこに佇む。精悍な黒馬は湖の遺跡へと足を向けた主人の背中をじっと見つめていた。
「…頼むっ。ほんの僅でもいいんだっ…俺にもアルを守る力を与えてくれ!」
ロイドは遺跡の入口で中に向かって、祈るようにその台座の縁に手をついた。
「セラス殿、大丈夫ですか!?」
確認するように離れた場所から声が掛けられた。船の外も危険だが、家具がある船室内も戦場と変わらない。
「ああ、何とか無事だよ」
セラスはそう応えながら、飛んでくる椅子やテーブルを足で蹴り返していた。
ジャワールのキエラ大王に代わってセラスはルバールの船に乗り込んだのだが、この海のとんでもない荒れように、セラスは眉根を寄せた。
ルバール国の海域に入った途端、この嵐だ。これももしや、闇の王の仕業だとしたら…
不吉な予感は普段は冷静沈着なセラスの表情に不穏の陰を落としていた。
強い雨は勢いを増し、草原に咲く草木を容赦なく叩きつける。
雨雲のせいで月の灯りも届かぬ暗い湖は、今は闇の王の出現で見張りの隊達も城へと皆退き払っていた。
発光色の草花が鈍く光を射す神の降りる泉はしんとしたまま静かにそこに佇む。精悍な黒馬は湖の遺跡へと足を向けた主人の背中をじっと見つめていた。
「…頼むっ。ほんの僅でもいいんだっ…俺にもアルを守る力を与えてくれ!」
ロイドは遺跡の入口で中に向かって、祈るようにその台座の縁に手をついた。