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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第27章 名もなき村
§東の空
暁に輝きし時
神の従者目覚め
南の大地
黄金に包まれし時
神の力 降臨し
神の光り 黄金の輝き
闇を葬る力 与えん §
その日──
空は瑞々しく輝いていた。
白い雲の隙間から太陽が惜しみなく光りを注ぐ。長雨を受け続けたお陰か、植物の葉は新芽のように色鮮やかにつやめいていた。
「やあ、マーク。それはアルの部屋に飾るのかい?」
城の庭にいたマークにルイスは声を掛けながら近寄った。小さな手には柔らかな色合いの花が摘まれている。頭上から覗き込むルイスを仰ぐとマークは笑顔を見せた。
数日前に同じ場所で見た表情とは大違いだ。マークの笑顔を見てルイスも安心したように同じく笑い返す。
マークは向きを変えると花を摘みながら言った。
「あのね、この花を傍に飾るとアルが笑うんだ!」
「笑う?」
「うん!」
ルイスは一瞬口をつぐんだ。だが直ぐにマークの言う意味が理解できた。
あの日、ティールの言葉を伝えた後、崩れるように倒れたままアルはまだ目覚めずにいる。
ルイスは花を摘んだマークと一緒にアルの居る部屋を訪れた。