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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第27章 名もなき村


摘んだ花をさっそく花瓶に移し、アルの枕元に置くとその香りに癒されたのか、アルの頬が上がりほんのりと色づく。マークは花を飾るとルイスを残し、また庭に向かった。

ルイスは駈けていくマークの背中を見送ると微笑むアルを覗き込んだ。

「なるほど、いい表情で笑うな。痛みもないような笑みだ」

傍らの椅子に座り、アルの枕元に頬杖をつくと改めてその寝顔をゆっくりと眺めた。そしてルイスはアルの頬にそっと触れた。

柔らかくて温かい。

生きていると証し付ける体温を感じた途端、急に愛しさが込み上げた。


誰のものでもない

清らかな乙女


頬に触れただけで神から咎めを受けそうだ──


ルイスはそんなことを思いながらやるせなくも甘い笑みを浮かべた。

「じゃあ…こんなことをしたら咎めだけじゃ済まないかもな……」

ルイスはそう小さく呟く。そしてアルにそっと唇を重ねていた。



誰が為に戻ってきた?

そう心で問いながらも、自分の為だと今だけは思いたい。

重ねた唇を放すとルイスの唇から熱い吐息が漏れる。今までにも悪戯に何度か唇を重ねたことがあった。ただ、アルを意識しての真面目なキスはこれが初めてだ。

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