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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第27章 名もなき村
・
アルが目覚めたと報告を受けて突っ走ってきた証拠に息を上げてレオはまくし立てた。
鋭い剣幕で目の前にいたルイスを睨み、そして出掛ける準備をしようとしていたアルをレオは目に止めた。
「アル──っ…」
ズカズカとアルに近づくとレオはめいいっぱいアルを抱き締めていた。
勢いよく抱き締められ、以前より少し伸びたアルの髪が乱れる。
レオはアルを見つめると頬に掛かるアルの毛先を指先でとかした──
「もうどこも痛いとこはねえのか…」
愛しそうに優しく問い掛ける。
血にまみれ、力なく瞳を閉じたあの日のアルを思い出し、レオの武骨な指先が微かに震える。
「う、ん…大丈夫…」
「そか…」
返事を返したアルに安心してレオは小さなため息を吐いた──
アルの髪を手櫛で鋤き、顎先を捕えて首を傾ける。そんなレオの肩にロイドは手を置いた。
「誰がそこまでしていいといった…」
目の前で堂々と唇を奪い掛けたレオをロイドは牽制していた。
アルが戻ってきた歓びの抱擁だけは大目にみる──
だが、唇に触れるのは抱擁ではない。
肩に軽く置いた筈の手にググっと力が入る──
「…頼むからそんなくだらん争いは後にしてくれ」
睨み据える二人を引き離しながらルイスは二人の背中を押した。
アルが目覚めたと報告を受けて突っ走ってきた証拠に息を上げてレオはまくし立てた。
鋭い剣幕で目の前にいたルイスを睨み、そして出掛ける準備をしようとしていたアルをレオは目に止めた。
「アル──っ…」
ズカズカとアルに近づくとレオはめいいっぱいアルを抱き締めていた。
勢いよく抱き締められ、以前より少し伸びたアルの髪が乱れる。
レオはアルを見つめると頬に掛かるアルの毛先を指先でとかした──
「もうどこも痛いとこはねえのか…」
愛しそうに優しく問い掛ける。
血にまみれ、力なく瞳を閉じたあの日のアルを思い出し、レオの武骨な指先が微かに震える。
「う、ん…大丈夫…」
「そか…」
返事を返したアルに安心してレオは小さなため息を吐いた──
アルの髪を手櫛で鋤き、顎先を捕えて首を傾ける。そんなレオの肩にロイドは手を置いた。
「誰がそこまでしていいといった…」
目の前で堂々と唇を奪い掛けたレオをロイドは牽制していた。
アルが戻ってきた歓びの抱擁だけは大目にみる──
だが、唇に触れるのは抱擁ではない。
肩に軽く置いた筈の手にググっと力が入る──
「…頼むからそんなくだらん争いは後にしてくれ」
睨み据える二人を引き離しながらルイスは二人の背中を押した。