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贄姫
第3章 参
―――拒めない。
瓊乱はそれを知っていて
わざと意地悪く唇を離すとにんまりと笑った。
「ほら、もっと欲しいって言えよ」
唾液には、精気が混ぜられていたのだろう。
疲れがとれてm視界がクリアになっていた。
「っ……!」
先ほどの一口でさえ、
ずいぶんと身体が楽になった。
もう一口もらえれば、完全にめまいも収まると
本能的に理解できていた。
「言わないと、水捨てるぞ?」
コップの水をた瓊乱が床に落とす。
驚いて、半身を起こして瓊乱をにらみつけた。
「やだ、やめて!」
「じゃああ、ほら、なんて言うんだ」
起き上がってから、まだ視界がぐらぐらするのを実感した。
「意固地だな。ほら、言えよ椿」
瓊乱に顎を持たれて、上を向かされる。
真っ赤な目と目が合った。
「水を……」
「水を?」
「……ちょうだい」
「下さいが正解だ。だけど勘弁してやるよ」
そうして椿の口に、
またもや水を含んだ唇が押し当てられた。
欲して、体が前のめりになる。
終わると、瓊乱はまた椿に与えた。
いつの間にか、瓊乱にしがみつくような形で
椿は水を飲んでいた。
隠された体の欲望が、少し和らぎを見せるのと同時に
唇が離れた瞬間には渇望した。
「ずいぶんと積極的だな。
今日襲われた変態妖怪に教わったか?」
「ちがっ……」