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贄姫
第3章 参


椿の否定を、瓊乱の口が抑え込む。
もう水はなくて、代わりに火傷するように熱い瓊乱の舌が入ってきた。


そのまま、壁に押さえつけられるようにして深く深く侵される。
嫌なのに身体は拒むすべを知らず、瓊乱の舌に混じる精気を欲してか
その甘い刺激を欲してか、体が自然に動いて
彼の舌に自ら吸い付いた。


それを面白そうに鬼は見ている。
さんざん舌を絡めあい
だいぶめまいがなおってくると
瓊乱の手が椿の首の後ろに伸びた。


「こんなんで隠すな。お前の身体は世界で一番美しい」


そういうと、爪の先で
椿の刺青隠しの呪符をつまんで、べりべりとはがす。


「あ……」


術が無理やりはがれる反動で
椿の意識が一瞬飛びそうになり
その瞬間に口をふさがれた。


身体中に電撃が走るかのような
衝撃的で甘美な口づけ。
ピリピリと痛いほどに甘い。


瓊乱が椿の身体をきつく抱きしめる。
それだけで、さらに口づけは深さを増した。
術が剥がされる痛みとも衝撃とも言えない感覚と
瓊乱の舌から与えられる刺激に、朦朧とする。


「……ほら、やっぱりこの方がきれいだ」


唇を名残惜しそうに外したのは瓊乱で
椿の鎖骨に唇を滑らせながら
浮き出てきた刺青の線を舌先でなぞった。


意識が飛びかけていた椿は
瓊乱の熱すぎる舌によって目を覚まし
空気を吸い込んだ。
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