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贄姫
第4章 肆
耳から首のあたりの匂いは
またもや抗いがたくなるほどの甘さで
吸い付いて舐めるのを、瓊乱はやめることができなかった。
そのうちに吸いすぎて痣になる。
強く吸うとすぐに内出血して
白すぎる肌に赤い花を散らした。
初めはぽつぽつと在ったものが
そのうちに連なって
首筋に真っ赤な痕をつけた。
「ゃ、だ……瓊乱っ……」
そう発して震える喉にかみつく。
噛み千切りたくなるほど、欲求は昂った。
「ぁ、やめっ……ん」
鎖骨は唇にちょうどよく収まり
そこから胸のふくらみにかけて
赤い花をポンポンと散らす。
刺青が上気した肌に浮かび上がってきて
月明かりに白と赤のコントラストが
さらに瓊乱の欲情を引き立てた。
ずっと精気をおあずけをされている状態なのだ。
本来ならば、毎日もらっても良いものなのに。
胸の突起に触れれば、大きく体が跳ね上がる。
指先で軽く突くと、すぐに隆起して
口に含まれるのを待つかのように
桃色のかわいらしい突起となる。
すでに椿の全身から
匂い立つような芳しいいい香りが広がっていた。
そこに、大量の果物と花をちりばめたような
甘くてみずみずしく
溺れてしまいたくなる匂いだ。