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贄姫
第2章 弍
口の中に血の味が染み込んできた。
鬼の血も、同じ味なんだと
妙に冷静に考える一方で
体の変化に頭がついていけなくなっていた。
身体中が火照り
空気に触れるだけでピリピリとする。
寒くて仕方が無いのに
暑くて汗がじんわりでている。
全身の血が沸騰したまま巡っているかのような
ぞわぞわする不快感。
「…っ!
なん、なのよ…もぅっ…」
苦しくて、思わず爪を食い込ませるほどに
目の前の男にしがみつく。
「血は交わった」
真っ赤な目をした男は猟奇的に美しい顔をしている。
「これで、お前は俺のものだ」
瓊乱の方も苦しいのか
いくばくか眉根を寄せたが
勝ち誇ったようにそう言い放った。
ぞわ、と血が沸騰する感覚がして
瓊乱の舌が口の中に入ってきた
温かい感覚だけを残して椿は意識を失った。