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贄姫
第2章 弍
助けてやった礼を言え。
そう言うや否や、椿の唇を塞いだ。
やだ、という言葉は出てこない。
抗おうにも、身体に力などもともと入らない。
なされるがまま
口の中に入ってきた瓊乱の舌に弄ばれた。
「…っ、いや!」
顔を背けるが
顎を掴まれてまた強引に口づけをされる。
舌を擦り合わされると、背中がゾクゾクとした。
「…たまんねぇな、女の嫌がる顔は」
いつの間にか、瓊乱の目が真っ赤に染まっていた。
「…鬼……」
「そうだ、不服か? こんなに美しい俺に、護られるだけ光栄と思え」
思えるわけない。
椿が声を荒げようとするのを
瓊乱の唇が許さない。
入ってくる舌を拒むことができず
椿は流れ込んでくる瓊乱の唾液を飲んでしまった。
「お前、ほんとに甘いな。噂通り」
瓊乱は椿から離れるのをためらうかのように
唇を離さずにそう呟いた。