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贄姫
第2章 弍


すると。
椿の身体がふ、と楽になった。


「……美味いだろ、俺のは」


釈然としなくて、椿は目の前の男を睨みつけた。


「もっと欲しいって言えよ。そしたら、すぐ動けるまで生気をやる」


「誰があんたなんかに頼むもんか…!」


「あ、そう」


瓊乱が抱きしめる手を離す。


「きゃ……!」


どすん、と身体が布団に叩きつけられて
呼吸が一瞬止まった。
打ち付けた背中は予想以上に痛く
息ができなくてむせる。
それほどまでに、身体が弱りきっていた。


「何もできないくせに、強がってんじゃねぇよ」


瓊乱が覆いかぶさるように椿を覗き込んだ。
その、美しい顔は狂気に満ちている。


「嫌なら抵抗しな」


再び唇を塞がれる。
嫌だと叫び出したかった。
それさえも、弱りきった身体はできない。
息を吸うためだけに一瞬だけ唇を離し
その後はただただ強引に舌を入れられた。


絡みついてくる瓊乱の舌は温かく
唾液がまとわりつく。
それに生気が入っているのか
口づけが深くなるたびに
椿の身体に力が戻った。


「んっ…いやっ…!」


声が出て、それと同時に手も動く。
握りこぶしで覆いかぶさる瓊乱の胸板を叩いたが
手首を掴まれて頭上で固定される。


「ほら、もっと嫌がってみせろよ」
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