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贄姫
第2章 弍


瓊乱の真っ赤な瞳が
恐ろしく光る。


「鬼……!」


「鬼に弄ばれて…どうだ、身体は正直だぞ?」


塞がれた唇を、椿は振りほどくことができなかった。
瓊乱の舌が運ぶ甘い唾液に含まれる生気を
身体中が欲していた。
もっと、もっと、と弱りきった身体は叫んでいるのに
理性がそれを押しとどめようとしている。


これ以上は、椿は壊れそうになった。


「…抵抗、できないだろ?
こんだけ弱ってるんだ、俺を拒めないし
身体が俺の事を求めてる。
それくらい、阿呆なお前でもわかるだろ?
だから、もっと下さいってお願いしな」


言えるくらいの生気は与えてやったんだ。
瓊乱が舌なめずりした。


「…さすが、下等な鬼だけあって、
考えてる事もやってる事も下等ね」


瓊乱の目が血より鮮やかに紅くなる。
興奮したり、怒ったりすると紅くなるのだと、
椿はまじまじとその目を見入ってしまった。


忌々しいのに、あまりの美しさに
凝視しかできないと言う矛盾だった。
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