この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
贄姫
第2章 弍
瓊乱の真っ赤な瞳が
恐ろしく光る。
「鬼……!」
「鬼に弄ばれて…どうだ、身体は正直だぞ?」
塞がれた唇を、椿は振りほどくことができなかった。
瓊乱の舌が運ぶ甘い唾液に含まれる生気を
身体中が欲していた。
もっと、もっと、と弱りきった身体は叫んでいるのに
理性がそれを押しとどめようとしている。
これ以上は、椿は壊れそうになった。
「…抵抗、できないだろ?
こんだけ弱ってるんだ、俺を拒めないし
身体が俺の事を求めてる。
それくらい、阿呆なお前でもわかるだろ?
だから、もっと下さいってお願いしな」
言えるくらいの生気は与えてやったんだ。
瓊乱が舌なめずりした。
「…さすが、下等な鬼だけあって、
考えてる事もやってる事も下等ね」
瓊乱の目が血より鮮やかに紅くなる。
興奮したり、怒ったりすると紅くなるのだと、
椿はまじまじとその目を見入ってしまった。
忌々しいのに、あまりの美しさに
凝視しかできないと言う矛盾だった。