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贄姫
第2章 弍
「…口のききかたを改めるんだな。
お前は、俺に全部を捧げた身だということを
思いっきり味わわせて後悔させてやるよ」
瓊乱は自分の舌を牙に押し当てると
スッと動かして裂いた。
鮮烈な色の血が舌先から溢れてくる。
「…動けるようにしてやる。
その方がいたぶり甲斐がありそうだ」
いや、という言葉は血の味に混じった。
瓊乱が先ほどよりも乱暴に椿の口の中に入ってくる。
押さえつけられた頭は動かせず
振りほどこうとした手は強く押さえつけられた。
そうして嫌というほど舌を犯された。
血の味は苦いのに甘く、
身体が勝手に瓊乱の血を求めて吸おうとした。
血を飲むと、先ほどよりもずっと強く
身体中に力がみなぎるのが分かる。
どれくらいそうされていたのかわからないが
気がつけばいつも通りの身体に戻っていた。
「どうだ、俺に少しは敬意を示す気になったか小娘」
「…誰があんたなんか…」
口のききかたに気をつけろよ。
そう言ってされた口づけは
先ほどのとは比べものにならないほど甘く、
全身にビリビリとした電撃が走る。
ふ、と力が抜けそうになって
鬼がにんまりと笑うのを見た。
「…あの術師の所に行く前に
俺がイかせてやろうか?」
そう言って
いきなり乱暴に抱き起こしたかと思うと
椿の着物の襟をぐいっと広げた。
あまりにも一瞬すぎて反応が遅れると
鎖骨の下に瓊乱の舌が滑り
鋭い痛みが肌の上を走った。
「…っ、いや!」
吸い付かれてると気づいて
瓊乱を思い切り後ろに突き飛ばした。
慌てて襟を正すと
ばっと立ち上がって
周のいる隣の部屋へと駆け込んだ。
その姿を、瓊乱が面白そうに舌なめずりしながら見ていた。