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贄姫
第2章 弍
「邪気って…私は平気なのに」
「主人がダメな訳ないだろうが。
とにかく、早く角を封じてくれ。
他のみんなも怖がってるし、何より近寄れない」
「そう、なの?」
瓊乱のあごをどかそうとしたが阻止される。
その椿の耳元で
ケラケラとおかしそうに瓊乱が笑った。
「そりゃ、こんな大物がいたら怖がんない方がおかしいってもんだ。
周といったか、お前も冷や汗かいてるんじゃないのか?」
それに周は答えず、じっとりと瓊乱を見つめた。
「そうなの? 周、大丈夫?」
「ああ…」
「あんたって、本当に嫌な鬼みたいね。
いいわ、すぐに言うこと聞くように封じてあげる」
再三言うが、口のききかたには気をつけろ。
低い声が耳元で聞こえて、
瓊乱は強く椿を締め付けた。
あまりの苦しさに、椿は一瞬気を失いそうになる。
「椿に乱暴に触れるな!」
周の呪符が投げられたが
一瞬で燃えかすになった。
「効かねぇよ、んなもん」
まだ本調子でないため
ぐったりしかけた椿の首筋に瓊乱が吸いついた。
「な、やめて…」
痛みと、恥ずかしさで椿は意識を戻した。
そして、周の前でこんな風にされている事への絶望感…。
「やめてよ、やめなさいってば! 瓊乱!」