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贄姫
第2章 弍


暗の森は蔵の守り(くらのもり)が時代とともに変化したもので、
術に使う道具を収めた蔵が並んでいた。
今は多くの蔵の中身は消えたのだが
蔵だけが山のあちこちに点在している。


結界がうまく張られてるため、妖たちが入れない、神聖な森だ。
ここは通常、英家の者も安易には近づかないようにしている。


しんと静まり返る鎮護の森は
気温がほぼ年間を通して一定で
吹き抜ける風がとても清らかだ。
2人はただ黙々と森を進んだ。


「禊なんて嘘だ」


暗の森の奥に、ひっそりと佇む滝がある。
滝壺も穏やかで、小さい時、2人でここでよく遊んだ。
そんな滝の前に来て、周がふと息を吐いた。


「え?」


「椿が……あいつにひどいことされてそうで、いてもたってもいられなくてつい…」


「周……」


「それに、あいつの邪気に、当てられてしまうんじゃないかって、思って
だけど、馬鹿だよな。契約者なんだから、そんなこと絶対にできないのに。
気が動転してて」


珍しく周がしゃべるので、椿はただ聞いていた。


「あいつの邪気が、ものすごかったんだ。
俺も、式でカバーしても、毒気に当てられていた」


「まさか…周が?」


英家の筆頭術師を抜くほど周の力は強い。
でなければ、幼少より、椿の守護者が務まるわけもなかった。


「そうだ。角を封じたおかげで近づけるが
そうでもしないと、無理だ。
強力すぎて、全く手におえない」


「あいつ、そんなにすごい力なの?」


「椿を護る強さという意味では申し分ない。
俺が居なくても大丈夫だ。
だから、これで婚約も解消になる」


「え…?」


周の言葉に椿は度肝を抜かれた。
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