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贄姫
第3章 参
「精気を与えることくらい、椿だって知っている。
方法はいろいろあるはずだが、お前がそれをさせていないんじゃないのか?」
「俺はな、犯して奪うか、食うかのどっちかなんだよ!
俺の流儀に合わせろってんだ、あの小娘。
お前もよく言っておけ。
護ってもらいたかったら、とっとと身体よこせとな」
「椿に乱暴なことはするな。
お前のやり方に合わせる前に、主人である椿に合わせろ」
やなこった、と瓊乱は毒づく。
「それともお前、あれか。
惚れた女を俺に横取りされるのが悔しいか?」
その瓊乱の言葉に、いきり立ったのは周ではなくて
鈴鹿と葛だった。
飛び出してくると、『よくも主様に無礼を!』と抜刀する。
それを制して、周は瓊乱を睨みつけた。
「悪いがあいつは俺のものだし、俺がいただく。
避妊の術もかけといてやるから安心しろ。
あいつが泣きながら俺に懇願するのが楽しみだよ」
鈴鹿が斬りかかろうとするのを、周が止める。
心を落ち着けることなどできないが
挑発に乗るほど愚かでもなかった。
「契約の内容以外のことはするなよ。
いくらお前のものだと言っても、椿は人だ。
お前が好きにおもちゃにしていい権利など持ち合わせていない」
「人間の理屈を俺に押し付けるなよ小僧。
俺は俺のやり方でいく。
だいたい、2週間以上も腹空かせたままにされてるんだぞ。
今まで乱暴しなかっただけでも褒められたいもんだぜ」
それには周も驚いた。
契約している以上、何かしら精気を与えなくては
契約している妖がくたばってしまう。
しかし、くたばりもせず、おまけに襲ってくる妖を散らし続けたこの鬼の妖力は
底が知れないものだと思った。
「瓊乱、どっか行くって言ったって
俺たちだって学校に行くんだぞ。
椿に付いてなくていいのかよ?」
「お前がやっとけクソ餓鬼!
それと、これは頂いておく」
イライラが真骨頂に達した瓊乱は、ハスキーな大声をだす。
そして、避妊の呪薬を持ってしゅん、と空間の歪みの中に消えていった。
その荒くれた様子に鈴鹿と葛も呆然とする。