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贄姫
第3章 参


「壷糯は平気だろうけど、くれぐれも千代菊!
校内でおしゃべりなんかしたら、尻の毛毟ってやるからね」


いつもは千代菊を嫌がる椿だが
おとなしく首から下げてシャツの下に仕舞い込んだ。


『毟られる毛なんぞございません。
すでに死人の身ですからね』


「この減らず口の頭でっかち!」


『お口が乱暴でございますよ!』


その2人を周が、まあまあ、と止めた。


「とりあえず教室行くぞ」


そう言って歩き始めた周の後ろで
なおも椿と千代菊は喧嘩をしていた。


『……喧嘩するほど、仲がいいというやつですかなぁ』


壷糯の声に、周は苦笑いをした。
とにかく、ああやって元気よくしているのが
何よりも周の心を安心させた。
いつもの椿の姿に、
おそらく英家の中で一番安堵しているのは自分だと、周は気づいていた。


玄関で上履きに履き替えたところで
椿と千代菊は喧嘩をやめた。
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