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贄姫
第3章 参
その椿にきつい視線を向ける女子も中にはいた。
その女子たちのきつい視線にふつうは怯えるのだが、
彼女はびくともしない。
その女子たちには目もくれず
椿は教室へとついて行った。
「周も明日からその顔面に術かけて
とびっきり不細工な顔で来たら?
これじゃまるで顔面が核兵器ね」
「椿、それ本気で言ってるのか?」
『主様に向かってなんて失礼なことうぉ…っつ!』
バカ、千代菊! と声を殺して
椿は胸元のネックレスのしゃれこうべを握りつぶした。
「わー! どうも騒がしいと思ったら椿に周じゃん!
さっすが、わが校の王子と姫!
こんなにギャラリー作れるのあんたたちだけだよ!」
そう言って奥から2番目の教室より
顔を出すなり駆け寄ってきたのは
幼稚園から一緒だった幼馴染、荒戸ハイリだ。
「椿、元気だった!?
良かった、やっと会えた!」
「おい、病み上がりに抱き着くな!
ぶっ倒れたら周に殺されるぞ!」
椿に抱きつく寸前の駆け出したハイリを止めたのは
こちらも小学校からの付き合いのある
黍塚(きびづか)紘一郎だ。
「ハイリ、朝から暑苦しいわ……。
だけど、あたしも…会えてよかった」
椿の笑顔に、ハイリは紘一郎の隙を見てその手を抜け
椿に思いきり抱き着いた。