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贄姫
第3章 参
「やーん! 会いたかったー!」
よしよし、と椿がハイリの背中を撫でた。
「大丈夫だったのか、周」
「ああ。心配かけたな。
とりあえず、椿はあの通り大丈夫そうだし
ひとまずは来られると思う」
男2人は冷静に会話しながら教室に入り
女子2人は溜まっていたガールズトークに早くも花を咲かせた。
教室に入るなり、周を見た一部の女子が
またもや黄色い声を上げた。
「お前って本当に人気だよな。少しは分けろよ」
「別に好きでこれじゃないんだけど……」
周は少し困った。
席について教室を見渡せば、
何人かの男子が椿のことを見てひそひそ言っている。
さらには、教室の外からも男子生徒が椿を見ていた。
「周、顔! 怖い怖い!」
それを見た紘一郎が、眉を指で釣り上げて、にかっと笑う。
椿もほら、あの可愛さであの冷たさだからな。
そりゃ、思春期男子の憧れにもなるだろ。
お前たち2人は悪目立ちするんだよ」