この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
贄姫
第3章 参
「あ。ねぇねぇ。
ちょっと職員室に行ってくるから、ここで待っててくれる?」
ハイリが鏡を見ていた手を止めて
「やば、先生に呼び出されてたんだわ」と
顔をげっそりさせたのは昼休みのことだ。
すでに食事は幼馴染4人で平らげ
その後トイレに席を立った時
ハイリが面倒くさいを前面に顔に出した。
椿はそのハイリに快くついて行った。
職員室の前で彼女と別れると
つい何もすることがなく、掲示板に目を通していた。
くだらない掲示物を見ながらゆっくりと歩いていたとき
急に声をかけられた。
「ねぇ、英さん」
振り返ると、クラスの子たちが3人
椿に対峙していた。
「なに?」
一瞬、雫の冷たい返しにたじろぐが
気を引き締めて声を出した。
「現国の田上が呼んでたの。
準備室に来るようにって」
「なんで?」
「休んでいたからじゃないかな?
宿題とか結構出たから、その件だと思うよ。
行かないと、呼んでこなかった私たちも怒られちゃうから、早くいってくれる?」
ふーん、と思って、職員室を覗く。
ハイリはまだまだ時間がかかりそうだった。
「わかった、行ってくるわ。
現国の準備室ってどこ?」
「この階段上って、右行って2つめだよ」
「ありがと」
椿は彼女たちに背を向けると
階段をつかつかと上り始めた。