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贄姫
第3章 参
椿の意識が遠のく。
美味いと言われる匂いを発しているつもりはないのだが
どうやら身体の反応とともに発せられて
妖のご馳走となっているようだった。
ーーなんなのーー
椿の脳が痺れた。
秘部の襞を割って
田上の舌が奥まで入ってこようとして
そこで椿の思考は停止した。
力強く、舌が中に入って来ようとする。
若干の痛みと気持ち悪さ
そして暴れようにも力の入らない身体に
椿は目の端から涙を流した。
その時。
「椿っ!」
周の声が扉の向こうから聞こえた。
椿の遠のく意識が戻ってくる。
「椿、くそっ!」
ガチャガチャとドアノブを無理やりこじ開けようとする音が響く。
田上がそれに気づいて椿から唇を一瞬外した隙に
ドアが勢いよく開かれた。
『椿様!』
術者の近くにいるせいで
透明ではなくなった千代菊が一目散に入ってきて
田上の背中に体当たりする。
「椿…っ!」
自分でも認めたくないほど
恥ずかしい格好を周に見られて泣きそうになった。
そのガムテープで固定され
凌辱されていた椿の姿を見た時
周の怒りが頂点に達した。
「この、やろう…!」
『主様、これを』
旅芸人風の初老の男ーーー壺糯が、捻じ曲げた空間から
しゅるしゅると錫杖を取り出した。
杖の部分が刀になっているその特殊な錫杖は
代々、弦総家の当主に受け継がれる秘宝だ。
周はそれを受け取って
田上に向かって構えた。