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贄姫
第3章 参
「恥を知れ!」
周がその錫杖の刃の反対、
棟の部分で田上を身体を横から薙いだ。
「うっ…!」
その反動で、彼の体内から
黒い物体がべりん、と剥がれた。
その黒い物体を棟で薙いで引き剥がすと
田上本体は、教室の床にどすん、と倒れこむ。
その間にも周は杖の先端部で、
まるで虫をピンで固定するように
妖を壁に貼り付けて抑えた。
『がっ…っああぁっ…くそ、力が入ら…な…』
妖はビチビチと手足をばたつかせる。
周がものすごい形相で刺した錫杖をぐるりと捻った。
『う、がぁぁあ…!』
妖の肉を錫杖が巻き込む。
その痛みに、しゅうしゅうと黒い気が爆ぜた。
「壺糯、こいつを2度と出てこれないように片付けてくれ…」
『御意!』
壺糯はそう言うと脇に抱えた壺の蓋を開く。
すると、ずるずると風が巻き起こり
妖があっという間にその中に吸引された。
しゃらん、と美しい音を立てて
妖を打ち止めていた錫杖が傾ぎ
それを壺糯がまた空間の中に還す。
その揺らいだ空間の狭間に壺糯自体も
すっと消えていなくなった。
「椿! 大丈夫か!?」
千代菊は椿の足のガムテープを外していた。
周は駆け寄ると椿を机の上で抱き起こす。
「椿っ!」
口のガムテープを、ごめん、と言うと一気に剥がす。
痛そうに眉をしかめて目を開けた椿の口から
詰め込まれたショーツを引っ張り出すと
周はぎゅっと椿を抱きしめた。