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贄姫
第3章 参
『主様、報告は壷糯から聞いております。お疲れ様でした』
そう言って部屋に戻ると葛が現れた。
腰から垂れ下げているしゃれこうべは、いつもと同じ個数に戻っている。
『千代菊も壷糯も、疲れて寝てしまいました。
主様、今後このようなことがあるとなると心配で……。
次からは私を連れて行ってください。鈴鹿とも快諾済です』
それに周はうなった。
連れて行ってもいいのだが、それでは英の守りが手薄になるのではないか。
椿がいるとわかってしまった以上、
妖たちが襲い掛かってくる確率は、この家のほうが格段に高い。
『主様、英の陰陽師たちも、もうしばらくで元に戻ります』
「だけど…」
周が答えあぐねていると
ドアがバタンと乱暴に開いて、ずかずかと美しい男が入ってきた。
「よーう、お前がついていながら、なんだ、あのざまは?」
形のいい唇には、嘲笑が乗っている。
あまりにも美しい男―――瓊乱は、手に持っていた酒をぐびっと飲んだ。
「それでよくも筆頭陰陽師とか、ふざけたことぬかすな」
『貴様! 主様を侮辱するなど!
主様は、私たちを置いて行かれたためにこのような……』
「黙れよあばずれ」
『なっ!』
俺はそいつに話してんの、と瓊乱は舌なめずりしながら
恐ろしい妖艶さで周を見つめた。
その目が紅い。
怒っているのか、興奮しているのか、周には理解しかねた。