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贄姫
第3章 参


その頃。


「っう……」


傷に効果のある薬草を入れたせいだろうか。
湯はかけるだけで体中が引きつるように痛かった。
椿は我慢して湯船につかる。


手首は何ともないのだが、
きつく巻きつかれた足のほうは、赤くなっていた。
そして、何よりも吸われた所が沁みて痛い。


痛いのに、体の芯が疼いて仕方がなかった。
苦しいのだ。
それは、体の痛みや恐怖ではない。
身体が、椿の知らないうちに、淫靡な欲望を欲していた。
そして、それが与えられなかったせいなのか
とてつもなく苦しかった。


早く良くなるようにと
この疼きは気のせいだと
湯がしみこむようにゆっくりと浸かった。


いつもより少し多く浸かったせいか、
湯船から立ち上がると、立ちくらみをおこした。
先ほど出ていくように命じたせいで、今は式もいない。
椿は縁に腰かけたが、グラグラと視界が揺らいだ。


「浸かりすぎだ、馬鹿」


ふてぶてしいハスキーな声がしたかと思うと
いきなり抱きかかえられた。


「な……瓊乱!?」


「ずいぶんな目に遭ったみたいだな」


脱衣所まで運び、そこの長椅子に椿を寝かせた。
タオルを体にかけると、
頭と足の下に冷たい水に浸けてきたタオルを軽く絞り、敷いた。
たったそれだけのことで、ずいぶんと視界の揺らぎが落ち着く。


人間の体のことなんて、妖にはわかりにくい。
なのに、この手当の仕方は人間をよく知っているようだった。
椿はたまを不思議に思う。


そこまで冷静になったところで
ふ、と息を吐くと喉の渇きを覚えた。


「……欲しいか?」


瓊乱が意地悪そうに、水の入ったコップを椿に見せつける。
椿は心底呆れた。
優しくしたと思えば、すぐこれだ。
これだから、妖は、と思った。


「ほんと、性格悪いわね、あんた。
いらない。自分で飲むわ」


椿は瓊乱と反対に身体を向けた。
すると、肩をぐいとつかまれて
元に戻される。


「ほんと、可愛げがないな」
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