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忘れられない指
第9章 迷い?それとも・・
「どっちが好きか・・好き、なのかまだわかんないです・・
 バーのマスターに失恋した後で急にそんな事言われてもっていうのが
 正直なとこなんですよねぇ・・」

それまで慎介さんにむいていた心を、急に向きを変えることなんか簡単にはできない。

「ま、そりゃそうか・・」

ゆらゆら立ちのぼる煙りを探しながら、真奈美さんは腕を組んだ。
少しの間宙をさまよっていた真奈美さんの視線が、
なにかを探し当てたように私に戻ってきた。

「どっちもどっちならさ、付き合ってくれって言ってくれた方と
 付き合ってみればいいじゃん、まずはさ」

次になに飲む?と間髪入れずに聞かれて、あわててカンパリオレンジ、と答える。
まるで私に答える隙を与えないようだった。
思った通り、真奈美さんが続けて話し出す。

「女ってね・・一度やっちゃった相手のこと、勝手に特別な存在だって思い込む・・
 でも、男の方は結構割り切ってたりするんだよね。
 抱いた相手と必ずしも付き合いたいとか、恋人にしようとか、
 そこまで思ってなくてもできちゃったりするんだよね・・」

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