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忘れられない指
第10章 選んだのは・・

静まり返る商店街によろよろとした2人の影が消えていく。
私と孝明は少しの間立ち止って不安げに見つめていた。

「もう・・大丈夫かなぁ凌空さん・・
 なんか史彦さん一人に押し付けちゃって申し訳ないな。
 ねぇ、今までもあんなことあったの?」

ゆっくりと歩き出した孝明に、ため息交じりにこぼした。

「いやぁあそこまでは・・
 あ、まだ学生だった時に、あったかなぁ。平気で無茶する年頃だったから。
 あいつ、うれしすぎるといつも以上に調子にのっちゃうから・・
 それもこれもひっくるめて、咲ちゃん、凌空をよろしくね」

柔らかい声だった。
私を見下ろす瞳も、揺らいでいた。

それが本心なのだろうか。
だとしたらちょっぴり・・寂しい気がする。

私が凌空と付き合うことになったのを
ほんのわずかでもいから残念がってくれたら。
心の片隅でそう思っている。

「・・孝明さん・・」

「ん?」

「私たち・・友達なんだよね?」


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