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忘れられない指
第20章 思い出をかかえて
「いい部屋見つかってよかったな。
場所も前のとこより駅に近くなったのか?」
不動産屋で契約を済ませたその足で、孝明は
私たちの新居に来てくれた。
「そう、シークレットにも近くなったし、なんたって新築だからな」
2年ぶりに見る孝明は、
大人の男の色気をもつ、さらにいいオトコになっている。
少し伸びた髪をかきあげるたびに、
私は眼で追った。
彼の・・指を・・・
「咲子、ノートパソコン持ってきて」
「あ、そうだ、写真見せないとね」
凌空の声に我に返って、バタバタと足音を立てながらリビングの端のテーブルに置いてある
ノートパソコンを取ってくる。
「いっぱいあるからスライドショーにしてみたほうがいいね」
2人にパソコンを向けると、どれどれ、と孝明が身を乗り出した。
「おまえにも見てもらいたかったよ、咲子のウェディングドレス姿。
きれいだったぞぉ!」
恥ずかしげもなくデレデレとした顔で自慢する凌空に、孝明は静かに口角をあげた。
「ギリギリまでがんばったんだけどな、その時期にちょうど
新商品の試作とかと重なっちゃってさ。オレだってガッカリだったよ」