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忘れられない指
第4章 決意、そして失恋・・
その後のことはよく覚えていない。
どのくらいの時間みんながはしゃいでいたのか、どのくらいしてから
孝明と史彦が店にやって来たのか、
頭の中に記憶らしい記憶はなかった。
きっと、あの3人とおしゃべりしたのだろう。
マスターと、そして恋人の恵子さんとも何か話をしたのだろう。
でも内容どころか、そんな場面があったのかさえ、思い出せないほど
私の気持ちはふさがっている。
もうこれ以上はムリ・・もう普通になんてしていられない・・
私は力の入らない足で立ち上がった。
「あれ、もう帰るの?」
「まだオレらが来たばっかりじゃん」
史彦がそういうってことは、2人が店に来てからそんなに時間は経っていないのだろう。
時間の感覚もすっかり、無い・・
「うん、明日友達と出かける約束してて。
ちょっと早めに起きなきゃならないから」
適当に思いついた言い訳の後、マスターに支払いをし、
それから恵子さんにむかって頭を下げた。
「ケーキ、ごちそうさまでした。とってもおいしかったです。それから・・
あの、お幸せに」
「ありがとう。これからどうぞよろしくね」
幸せにあふれた鈴の音は、私の耳にこびりついて離れなくなった。
じゃあまた、と最後だけはいつもの笑顔を無理やり作りだし、ドアに手をかけると
「あ、ちょっと待って咲子ちゃん!
オレちょっと送ってくるわ。また戻ってくるから」
慌ただしく椅子を引く音と凌空の声が背中越しに聞こえた。
私は早々とドアを押しあけ、先に外に出た。
夜風はまるでいじわるするかのように、冷たく突き刺さってきた。
どのくらいの時間みんながはしゃいでいたのか、どのくらいしてから
孝明と史彦が店にやって来たのか、
頭の中に記憶らしい記憶はなかった。
きっと、あの3人とおしゃべりしたのだろう。
マスターと、そして恋人の恵子さんとも何か話をしたのだろう。
でも内容どころか、そんな場面があったのかさえ、思い出せないほど
私の気持ちはふさがっている。
もうこれ以上はムリ・・もう普通になんてしていられない・・
私は力の入らない足で立ち上がった。
「あれ、もう帰るの?」
「まだオレらが来たばっかりじゃん」
史彦がそういうってことは、2人が店に来てからそんなに時間は経っていないのだろう。
時間の感覚もすっかり、無い・・
「うん、明日友達と出かける約束してて。
ちょっと早めに起きなきゃならないから」
適当に思いついた言い訳の後、マスターに支払いをし、
それから恵子さんにむかって頭を下げた。
「ケーキ、ごちそうさまでした。とってもおいしかったです。それから・・
あの、お幸せに」
「ありがとう。これからどうぞよろしくね」
幸せにあふれた鈴の音は、私の耳にこびりついて離れなくなった。
じゃあまた、と最後だけはいつもの笑顔を無理やり作りだし、ドアに手をかけると
「あ、ちょっと待って咲子ちゃん!
オレちょっと送ってくるわ。また戻ってくるから」
慌ただしく椅子を引く音と凌空の声が背中越しに聞こえた。
私は早々とドアを押しあけ、先に外に出た。
夜風はまるでいじわるするかのように、冷たく突き刺さってきた。