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忘れられない指
第5章 思いもよらぬ・・
慌ただしくドアを開け鍵を閉め、階段下をのぞき見る。
孝明も手に大きな袋を提げていた。

「おまたせ!お迎えごくろう!」

ふざけて笑う私を見る孝明の眼。
なんだか私の秘密を知っているみたい。
なにかいいたげな優しい眼・・
もしかしたら凌空から聞いているのだろうか・・

「お荷物お持ちしましょうか?エラそうなお姫さま?」

「いいよぉ、孝明さんだって荷物多いじゃない。何もってきたの?」

覗き込んでみると、私と同じようなタッパが見えた。

「もしかして、孝明さんもお料理作ったの?」

目を丸くして男を見上げる。

「もちろん!こう見えて料理の腕は確かだよ。3人の中じゃオレが一番かな」

そう言いながら私の手から大きい方のバッグを自分の手に収め、
孝明は歩き出した。
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