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忘れられない指
第5章 思いもよらぬ・・
「・・凌空さんからなにか聞いてるの?」
呟くような声で尋ねたのは、ちょうどBARシークレットの前を通り過ぎる時だった。
ステンドグラスからもれる灯りに目をむけながら、
でも足を止めたりはしなかった。
「聞いてるって、どれのこと?」
見上げた孝明の顔は、進む方向を見ていた。
私のことは・・見ていなかった。
「オレさ・・あれこれ聞いてるからさ、どの事だかすぐにはピンとこないよ」
そう言ったっきり笑っているだけで、私の質問へは答えてくれなかった。