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忘れられない指
第5章 思いもよらぬ・・
こうして床に座って飲んでいると、心底くつろげるって感じだ。
それに仲間4人だけ。
他人の目を気にすることなくなんでも話せる。
がんばってビールを2本飲んだ私は、その心地よさに任せて
心の内を吐き出してしまおうかと思い始めた。
女同士って、愚痴でもなんでもしゃべりまくってスッキリしようとする。
今日の相手は男だけど、彼らなら相手をしてくれるだろう。
なんたって、今夜の会も私のために凌空が企画してくれたのだから。
「凌空さん・・」
「ん?なに?どうした?」
少し開いていた距離を狭めるように凌空の体が近づいてくる。
「私・・またシークレットに行けるかなぁ・・」
「なんだよ、いきなり。どうしたの?」
私の言葉の意味がまるで解っていないらしい史彦が高い声をあげた。
凌空はきっと、史彦には話していないのかもしれない。
「あのね・・」
私は史彦に体を向けた。
「私・・マスターのこと・・慎介さんの事が好きだったの・・
でもなにもしないうちに見事にフラれちゃった・・」