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忘れられない指
第7章 思いがけない誘い
ランチ時でどこも混んでいるとは思っていたが、
凌空が連れていってくれた店は細い路地の奥にあり、人通りが少ないせいもあって
1組のカップルが待っているだけだった。

その後ろに私たちも並ぶ。
店員さんが先にメニューを持ってきてくれたので、凌空と頭を突き合わせるようにして
料理の写真を眺めた。

隣りのカップルは完全におでこをくっつけていちゃいちゃしながらメニューを見ている。

それを見たのか凌空も私の頬に自分の頬を寄せてくる。
急に顔が熱くなってきた。

ドキドキする・・
あの時、孝明の髪を感じた時のように・・・


一度に2組が席を立ったので、最初のカップルのすぐ後に私たちも案内された。

カントリー調のインテリア。
木の温もりを感じられる椅子は少し重たい。
自然の光が差し込む店内はほどよく落ち着いている。

この店の売りは大きめのハンバーガー。
好きなように野菜をはさんでかぶりつく。
初のデートにしては大胆な食べ物かもしれない。
でも気取るような相手じゃない。
大きな口をあけても恥ずかしくない。
凌空を目の前にしてあらためて、そう思えた。
それだけ凌空を受け入れている、という事かもしれない。

私たちは大きなハンバーガーをやっつけることに集中してから
ゆっくりとおしゃべりを楽しんだ。
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