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MY GIRL
第10章 熱
大樹SIDE
「美咲、ほんとに行くのか?その…ケーキバイキング?とかいうやつ…」
「…」
「さっきも言ったけど俺は食わねぇぞ?悪いけど甘いもので食えんのたいやきとチョコだけなんだよ、チョコも結構ヤバいけど…」
「…」
「その代わり美咲は好きなだけ食えよ、多分俺美咲見てるだけで腹満たされっから」
「…」
「…、美咲…?」
友達から貰ったらしい、ケーキバイキングとやらの無料招待チケット。
期限が1週間らしく、今日行きたいとねだられ仕方なく電車に乗ってる所…だけど。
電車待ちしてた時から、何となく美咲の様子がおかしい。
いつもにこにこ笑ってて話が絶えないのに、ぼんやりとどこかを見つめてた美咲。
そして電車に乗り…俺の肩に寄りかかったまま、俯いて何も喋らなくて。
寝てるのなら寝かせようと思ったが…やっぱりおかしい。
…不安になった。
まさか…!?
ハッとして額に手を当てると、驚く程熱い。
「…っお前!熱…っ」
「はぁ…っ」
力なく俺の膝に倒れこんだ美咲は、酷く赤い顔をしていた。
「美咲っ…」
抱き上げて見ると、真っ赤な顔で目が潤んでて、吐く息も荒い。
「あっつ、い…」
そう呟き、再び俺の膝に倒れる美咲。
すぐにスマホを取り出し、美雪さんに電話をかけた。
「もしもし。美雪さん…すみません。今家にいらっしゃいますか?美咲が熱出したみたいで…、…はい、S駅で降ります。…分かりました、ありがとうございます…」
電話を終え美咲を見ると、かなり辛そうで。
「美咲、ごめん。寒いけどちょっと我慢しろよ…」
S駅の駅員に事情を話し、医務室に案内して貰う。
震えながら
「寒い、寒い」
と俺に抱き着いてくる美咲。
医務室担当の人が席を外しているらしく、中で美雪さんを待つしかなかった。
このままだと美咲の風邪は悪化する。
…昨日の風呂か?
原因は…
暖房も付けずにベッドにいたからか…
そういえば今日の朝、何度か咳してたな。
それに気付いてたのに、俺は何も…
彼氏失格じゃねぇか…
「大樹ぃ、温めて…?」
真っ赤な顔で見つめてくる美咲。
理性が飛ばないように、頭を撫でて見つめ返す。
「ごめんな美咲…すぐ美雪さん来るからな」
小さく震えてる美咲の肩に、俺のブレザーをかけた。