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MY GIRL
第10章 熱
「涼太先輩っ!蒼汰ー!」

歩いてきた2人を呼び止める。

「ちょっと来てくださいっ」

2人の制服の袖を引っ張り、階段を降りる。

「ちょっ…どうしたんだよ!?」

「大樹をっ…助けて…」

涙が溢れてきて、視界が滲む。

倒れてる大樹を見た涼太先輩が、驚いて駆け寄ってきてくれた。

「大樹!?しっかりしろっ!」

「熱っ…ヤバいぞ、相当熱出てる…」

2人に抱き起こされた大樹はぐったりして動かない。

その姿があたしの涙腺を更に緩めた。

「嫌っ…大樹、死なないで…っ」

「泣くな美咲!今時風邪で死ぬ訳あるかっ」

「でもかなり熱いな、40度以上あんじゃねぇの…!?」

「とりあえず涼太、運ぶぞ」

「あぁ。美咲もほら、来い」

「はいっ…」

大樹の肩を組んで階段を降りる2人を、涙を拭って追いかけた。




蒼汰SIDE


朝、美咲がまた学校に来ていないのを知り、涼太に言いに3年1組の教室に来た。

「はぁ!?今日も来てねぇの!?」

「何があったか知らねぇけど…来てない」

「彼氏の方は来てる。…何か具合悪そうだけど。俺、早く美咲に謝りたいんだけど…」

昨日の屋上で俺らは、2人で美咲に謝ろう、と約束した。

その為に今日は気合を入れて来たんだが、肝心の本人が学校に来てないとなれば…

「また明日、だな」

言いつつ高宮先輩の席の方を見る。

後ろから見たら具合悪そうには見えないけど…

つーか涼太…ほんと反省してるな。

また泣きそうなってる。

「涼太って泣き虫なんだな」

「…はっ!?お前だけには言われたくねぇよ…」

慌てて目ぇ擦ってる。

「俺さ、ほんと反省してんだ、気持ち悪い位。お前から聞いた美咲の過去、俺より数倍酷いし」

「涼太の過去?聞いた事ないけど」

「あれ、言ってなかったっけ?時間ねぇから昼な、また屋上行こ。…ほら、チャイム鳴ったしはよ行け」

「あぁ…行くな」

「報告ありがと」

涼太に手を振り教室へと歩く。

歩いてる先生の横を通り過ぎると。

「矢野〜遅刻か〜?」

「…、違いますよ。カバン持ってないっしょ」

「仕方ねぇな〜」

…だから遅刻じゃないっつの。


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