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MY GIRL
第16章 東京
「あーあ、あたし…いつも蒼汰に助けて貰っちゃってるよね」

「あ?今更何言ってんの。俺大樹さんから美咲の護衛任されてんもん、いつも一緒にいないと殺されるし」

半分本気で、半分嘘。

いつも一緒にいろなんて言われてない。

俺が美咲と、いつも一緒にいたいんだよ。

「そっかぁ。護衛ねぇ…」

俺の取り繕った言葉に少しも疑問を抱く様子を見せず座席の背もたれに体を預ける美咲。

「あたし、お嬢様とかじゃないのにねぇ」

「…ははっ、美咲お嬢様、ってか?俺執事服着てきた方がよかった?」

「…あはは!執事服の蒼汰?いいねー、面白そう!」

「お嬢様、ご食事の用意が出来ました。何つって」

「あはははっ!似合わない〜」

「えー、酷ぇなぁ…」

…執事でも、美咲の傍にいられるなら。

俺はどんな職業にでも就くよ。

「…あ。ねぇ…そういえば。また聞かれたよ、矢野先輩とお付き合いされてるんですかー?って。そんなあたし達カップルに見えるのかなぁ?」

「はは…見えんじゃね?俺達ラブラブだもんな。そいつの問いに美咲は何て答えんの?」

「ん?一番大事な男友達、って!」

「…おぉ」

物凄く眩しくて可愛い笑顔で言う美咲。

相変わらず鈍感は顕在だ。

「…はいはい納得。だから俺最近告られなかったんだ」

「?どういう事?」

「美咲と俺が付き合ってるって思われてんだよ」

「へ?違うよ、付き合ってないよ!」

…そこまで断定されたらちょっとへこむんですが。

「女はそういう風にとるもんなの」

「何で女じゃない蒼汰が分かんのー?」

「勘だよ勘。男の勘」

「それを言うなら女の勘でしょー!?」

「男にも勘はありますぅ〜」

「でも男の勘とは言わないでしょー?」

「俺がたった今作った新しい日本語」

「えー、ないってそんな日本語!」

「作ったからこれから使って」

「どこで使うのー!」

「…、知らね」

「あっ、逃げた!」

そっぽを向く俺に笑う美咲。

「あたしの彼氏は大樹1人。蒼汰じゃありませーん」

「後輩は知らないと思うけど。いつも一緒にいる俺が彼氏だって思ってるよ」

「じゃあ蒼汰、無理してあたしと一緒にいてくれなくてもいいよー?」

「…」

無邪気な美咲の言葉に撃沈。

こいつは…本当に。


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