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遅すぎた恋
第4章 思えば思うほど…
何度かのコールの後…
久しぶりに聞いた声が受話器の奥で聞こえた。
「…はい。」
その低い声に胸がギュッと締め付けられた。
「…あっ…忙しかった…?」
「大丈夫です。」
この他人行儀な敬語は何なんだろう…
胸のざわめきと裏腹に目の前の恵梨香は
いまだニコニコと笑顔だ。
「今日…時間ある?」
「えっ!?あっ…ちょっと待って…
うわっ!あっ痛ぇー!!」
急に声が大きくなり、周りも騒がしくなる。
「大丈夫?」
「ててっ…あっ。ごめんね。
撮影中で…外に出たから大丈夫。
で?会えるの?!」
さっきまでの不機嫌そうな声は周りに人がいたから…
その理由がわかっただけでも安心した。
そして、変わらない無邪気な声にまた安堵する。
「うん…友達もいるんだけど…いい?」
「ん?友達?
別に俺はいいけど…」
そした、1週間ぶりの電話は
自分が想像していたよりも軽く…
時間と場所を約束して電話を切った。