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遅すぎた恋
第4章 思えば思うほど…
電話を切った後、目の前の恵梨香に目を向けると
「幸せそうね。」
と頬杖をついて、私を見つめている。
「なっ…そんな事ないわよ…」
半分は図星だった。
飛鳥君の声が聞けただけで、こんなにも嬉しくなる。
何て単純な作りなんだろう…
私の頭は。
結局、飛鳥君が未成年という事を
明かす事が出来ないままだったので、場所は
普通の居酒屋になってしまった。
そこまでお酒に強くない私だけれど、
酒豪の恵梨香には居酒屋が居心地がいいそうで…。
そして、約束の19時。
店の外で恵梨香と二人で待っていると
向こうから小走りでやってくる飛鳥君が見えた。
今日はシンプルに黒のティシャツに細身のジーンズ。
言われなければ…大学生に見える。
「こんばんは〜。」
「あら。可愛い」
恵梨香がニコッと笑う。
個室に通され、恵梨香は迷う事なくビールを頼んだ。
「桜は?えっと…彼は?ビール?」
「あっ…彼は…」
わたしが止めようとすると、飛鳥君が
横から口を挟んだ。
「…いえ、俺、桜さん送って行きたいんで
飲まないです」
そうやんわりと笑った。