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遅すぎた恋
第4章 思えば思うほど…



「桜さん、帰ろうか」


目線を私へと移し、優しく微笑む。
うんと頷くとそっと手が握られた。





静かな時間だった。




「ねぇ、桜さん…

俺、桜さんの事本気だよ。」


「…うん。」


「桜さんは?」



「……それは…」



握られた手の力が少し強まった。
恵梨香と何を話したのかは私には解らない…。

けれど、飛鳥君は何かを決意したように私を見る。




「…桜さん…彼氏いないんでしょ?」



ザワザワと胸がざわめき出す。

…なぜ…それを…


恵梨香の顔がよぎった。…そこしかない…




「…飛鳥君…あのね…」



そう飛鳥君の方を見上げた時…
彼の澄んだ瞳が目の前にあった。


一瞬で動けなくなった私に
彼の唇がそっと…私の唇に重なる。


笑みなど一つもない真面目な顔で
私を見下ろして…目を伏せた。





「ゴメン、桜さん。
キスはしないって約束してたのに。


ねぇ、俺の事…好き?」



…どうしてそんな顔をするの…


あの時と同じ…切なさが滲み出ている表情だ。


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