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遅すぎた恋
第4章 思えば思うほど…
肩を強い力で押された。
閉じていた目を開けると、まだ綺麗な彼の顔が
目の前にある。
私の背中は…床に当たっている。
それは、私が押し倒された証拠。
優しいキスが角度を変え、
私の少し開いた唇の隙間から
ヌルッと舌を差し入れられる。
その感覚にビクッと反応するが
飛鳥君の舌は容易く私を貪る。
「んっ…あすかっ…君…」
身体中が熱くなり…
久しぶりの濃いキスに、
私も無意識に、彼の首へと腕を回した。
ゆっくりと離れた唇からは
どちらのものともわからない糸が引く。
そして、思う…
これだけのキスを…どこで…
少し息を荒げ、私を見下ろす彼は…男の顔だった。
「桜さん…俺っ…
…我慢出来ないっ…」
握られて手を強く、強く握りしめる。
キッチンで鍋がコトコトと音を立てていた。
「あ、あすか…君…な、なべ…」
しどろもどろにそう言うと、
彼は一瞬辛そうに笑い私から離れ
キッチンへと向かった。
次に帰ってきたときには
シチューを手に持ち…いつもの笑顔だったのだけれど。