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先生、早く縛って
第8章 他の子に触らないで

だから……もしこれをめくったりしたら、この仕掛けを作った誰かと同じ卑劣なことをすることになる。

そんなの絶対イヤだけど……でも……すごく気になる。

私は震える手でテープをそっと剥がしてしまっていた。

そこにいたのはこちらを見て立っている先生と……先生の方を見て立っている女子生徒。違反じゃないかってくらい短いスカートに、栗色の長い髪の毛の……あれは……沙也加ちゃん?

私は両手を口で押えてただその場に立ち尽くしていた。

今日もあの日みたいに……先生が初めて私に触れてくれたあの日みたいに、校舎はどこも真っ赤に染まっていた。もちろん準備室の中も。

だから逆光になって、先生の表情はあまり見えないけれど……部屋の中の様子は良く見える。沙也加ちゃんはスマホを手に何かを話していて、先生はニコリともしていないみたい。

そう。二人の間に何か真剣な空気が流れているのが、扉の外にまで伝わって来ていた。

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