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先生、早く縛って
第9章 偽りのキス
「お前はこの部屋に入って来た時から、相手が誰かということばかり気にしてる。どの画像でもはっきりしなかったという証拠だろう?」
その間にもスマホを操作し続ける。隠しフォルダーすら無いな……鍵付きのアプリも無い……
「それにお前は……バックアップ取るようなタイプでは無いだろう。まぁ、もし取ってあったら……その時は褒めてやるよ」
「ちが……中に……他にも中に入ってる!」
はぁっ……と俺はため息をついた。
本当はそこまでしたくは無いんだが……
「そうか……他にも入ってるんだな?」
頷く柏木に最後に念を押すと……
俺は、さっきまで器具を煮沸していた鍋にスマホを沈めた。
火は消えているが、まだ熱湯で満たされた、その鍋の中に。
「残念だよ、柏木……」