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先生、早く縛って
第16章 つながりたくて
すると、先生がちょっとハッとした顔をした。
「あぁ、そうか……みんな好きなのかと思ってたよ。昔、金魚すくいばかりしたがる幼馴染がいたんだ……自分では面倒を見る気なんかなくて、俺や石塚が代わりに飼ってやるから、俺たちの家は金魚だらけになったんだよな」
「え~! 大変でしたね」
わんぱくな感じの石塚さんと、メガネを掛けてすでに頭の良さそうな先生が、弟分のかわいい男の子と金魚すくいをする姿を想像して私は微笑ましい気持ちになって笑ったんだけど……
「今思えば……勝負したいだけだったのかもしれないな。負けず嫌いだったから……」
と、先生は急に真顔になって、ひとり言のようにポツリと呟いた。
先生、どうしたのかな……? それにその男の子は今……
「それにしても、金魚がかわいそう、か……結衣は優しい子だな。じゃあ、あっちにしようか」
と、先生が指をさす先にはスーパーボールすくいがある。
この時の私は、先生があえて話題を変えたことなんかには全然気付かずに小走りでその屋台に駆け寄った。