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先生、早く縛って
第22章 指定席の女
カッと顔が火照るのがわかった。
横顔を見つめていたのを気づかれていたのだ。
「みっともないですよね……いい歳して」
「いえ、そんな……」
なんと答えていいかわからない。
そんなことも初めてだ。
「泣くほどのことじゃないのにね」
独り言のように彼女が言う。
「……どうされたんですか?」
「実は……出張にかこつけて、京都で友達と会うつもりだったのにさっき突然キャンセルされてしまって」
「それは……よほど会いたいお友達だったんですね」
確かに、それぐらいで泣くのはどうかとも思えたが、俺は傷つけないような言葉を探して言った。
翠先輩のときとは大違いだ。
俺は本当にどうかしている。何故だ?
それは彼女のせいなのか……