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先生、早く縛って
第28章 夢の途中
「おいおい……本当にどうしたんだ?」
肩を押してベンチに座らせると、石塚は両手で頭を抱えながらポツリと呟いた。
「凛が……凛が死にそうなんだ……」
……なんだって? 俺は石塚が何を話しているのか一瞬分からなかった。
いや……石塚の家のことじゃないと思った時、もしかしたら凛に何かがって……そんな考えがよぎったが、俺は気付かない振りをしていたんだ。
「凛が……どうして……」
それにしても、死にそうなんてことは……予想もしていなかった話にガツンと衝撃が走り、俺はその場に立ち尽くしていた。
石塚は俺の顔を見上げ……哀しそうに微笑んだ。
「俺は馬鹿だ……全然気付いてやれなかった。気付いた時にはもう手遅れだったんだ」
ザーッと強い風が吹き、俺たちの周りを桜の花びらが吹き荒れる……
「凛は、もう死ぬんだよ……一海」