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先生、早く縛って
第28章 夢の途中
怒りで真っ赤になった石塚の顔……こんな表情を見るのは初めてだ。そして手を上げられるのも。
それでもさらに石塚は俺に馬乗りになり、さらに殴ろうと俺の顔を見て……振り上げた手を力なく下ろした。
「ダメだ……こんなの凛が喜ばねえ……口拭いて、着いて来い……絶対だ!!」
俺は口もとに手を当て……血が出ていることに初めて気が付いた。
「俺は別れた理由になんか興味はねえ。ただ、そんな理由で、凛に会えないって……ビビってるお前が我慢ならねえんだよ! もう凛に会えなくなるんだぞ?!」
そうだ。そうだ……凛は別れただ何だっていう以前に……俺の大切な、大切な幼馴染だった。
そして、心から愛した女性だったんだ。
石塚は振り返りもせず足早に歩き出し……俺はハンカチで口もとを拭きその後ろに続いた。病院までの道を……