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先生、早く縛って
第28章 夢の途中

病院の玄関に入ると、診療時間外だというのにその中はざわざわとしていた。

しかし、入院病棟に足を踏み入れると……その廊下はそれなりの静けさを保っている。
石塚は何度も訪れているのだろう。長く続いた廊下を迷いもせずに歩いていく。

その背中を見て……忙しさに逃げるように石塚のことを避けていた自分を、俺は恥じていた。

凛の簡単な病状はここに来るまでに聞いた。
無理なダイエットやストレスなどから拒食症になり、そして衰弱したところに肺炎を併発して……もう今日が峠だと言われたのだそうだ。

もうずっと思い出さないようにしていた凛のしなやかな身体が脳裏によみがえる。
あんな細い身体で無理なダイエットだって……?

「だから、凛のどんな姿を見ても驚いた顔はするな。絶対……するなよ」

石塚が何度も念を押す。
と、その時……廊下の先から男女の叫ぶような声が聞こえて来た。

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