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先生、早く縛って
第28章 夢の途中
「凛……凛!!」「いや……凛、こっちを見て、凛……!」
石塚と俺が病室に駆け込むと、凛の父親がベッドに泣きすがっていた。そしてその後ろには崩れ落ちる凛の母親を、石塚の母親が抱きとめている。
そしてベッドの上には……凛。
口に酸素マスクを着け、ハア……ハア……と浅い呼吸を繰り返す凛の瞳は閉じられたままだ。
青白い皮膚にカサカサに痩せた頬……あの元気でキラキラと輝いた凛はそこにはいなかった。
「あぁ、来てくれたのか……もう、私たちのこともわからないんだ……あぁ、凛……」
俺たちを見て、凛の父親が誰に言うとでも無く話す。
意識が、もう……
万策尽きたのか、医者も看護婦たちも動きを見せていない。
その時……
凛の瞳が開き、こちらを見た。
俺を……確かに真っ直ぐに俺を見たんだ。