この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
先生、早く縛って
第28章 夢の途中
「凛……どうして……?」
俺が子供のように呟くと、凛が不安そうな目で俺の隣にいる石塚に目をやる。
すると石塚は涙が出そうなほど優しい声で囁いた。
「大丈夫だよ……凛」
ホッと安堵の表情を浮かべる凛……
それを見て、医者が酸素マスクを少しずらした。
「カズ……くん……凛、待ちくたびれちゃったよ……迎えに来てくれたらな……って……ずっと」
凛……凛……!!
俺は……俺はお前がもう俺のことなど忘れているって勝手に……俺はただ逃げていただけだ……
「遅くなってごめん……」
あぁ、もっと他にも言いたいことがあるはずだ。
でも言葉が上手く出てこない……
俺は管の通った凛の左手を両手で包み込んだ。