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先生、早く縛って
第28章 夢の途中

「凛……どうして……?」

俺が子供のように呟くと、凛が不安そうな目で俺の隣にいる石塚に目をやる。

すると石塚は涙が出そうなほど優しい声で囁いた。

「大丈夫だよ……凛」

ホッと安堵の表情を浮かべる凛……
それを見て、医者が酸素マスクを少しずらした。

「カズ……くん……凛、待ちくたびれちゃったよ……迎えに来てくれたらな……って……ずっと」

凛……凛……!!
俺は……俺はお前がもう俺のことなど忘れているって勝手に……俺はただ逃げていただけだ……

「遅くなってごめん……」

あぁ、もっと他にも言いたいことがあるはずだ。
でも言葉が上手く出てこない……

俺は管の通った凛の左手を両手で包み込んだ。

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